「茶摘み」で手遊びで泣く
母は、歌うのが嫌いと以前から言っていました。
子供の頃に音楽の先生から「声が低い」と言われてから、
嫌いになったという話を私は子供の頃から聞いていました。
祖母は、歌が好きで90歳後半になっても、
カラオケ教室に通い、練習も丁寧にしていました。
習い事に対するその姿勢を私は尊敬していました。
100歳過ぎてもしっかりしていた祖母を見習って?
母にも少しは歌った方が認知症に良いのでは、などと、
思っていましたが、母を歌わせるのは難しいだろうなあと
思っていました。
ある日、母宅に向かう途中「茶摘みに手遊びならするかも」と
思いつきました。
「夏も近づく八十八夜」とうたいながら、
二人で手を取り合ったり、手を打ったりするアレです。
母に「ねえ、これできる?」と
歌いながら始めると、普段は歌は嫌いとあれほど言っている母が、
のってきました。
二人で、歌いながら
「茜だすきに菅の傘~」と最後まで、できたのですが。
何だか切ない思いがこみ上げて、涙が出てきました。
母は心配そうに
「どうしたの?大丈夫?もう一回やる?」
と私を覗き込みます。
母の脳の活性化?になるかなあ、と思ったのですが、
私の気持ちのどこかに強く触れてしまったようです…。