涙が止まりませんでした
3日目の朝、母が
「ここに住むの?」と聞いてきます。
「旅行だから、今日帰るよ」と答えましたが、
母の記憶からは、自分の家の記憶が薄れてきているようです。
「私どこに住んでたの?」
「あなたと二人で住んでいたの?」
今住んでいる家の記憶ではなく、子供の頃の家の記憶になってしまっている
ようでもあります。
温泉に入れば「気持ちいい」と笑顔になり、
ご飯を食べれば「みんな美味しいわ」と喜んでくれましたが、
旅行中母は不安な気持ちを消すことはできなかったんだなあ、と感じました。
そして、母と二人だけの旅行は目を離すことができず、私も少々疲れました。
母宅で一緒にいる時より、母の認知機能の衰えを実感しました。
旅行のように次々新しいことがあると、母の記憶は追いつかないし、
それゆえ不安も高まるのでしょう。
朝からのんびりとお風呂に入り、
泊まった部屋を掃除して、帰宅の途につきました。
いつも母がお世話になっている方々にお土産のお菓子を買って。
午後帰宅した母が私に言った一言。
「また連れて行ってね」
私は涙が止まりませんでした。