母の自覚
母は、認知症に関する本を読んで、ノートにメモをとっています。
読んだだけでは理解できないので、記憶にとどめようとしているのでは、
と思います。
「そのうち、もや子(私のこと)のことも忘れるかもね。
『どちら様?』って。」と自分のことを茶化すように言ったりもします。
「私、よくなっているのかしら」と気にしています。
認知症は、進行を遅くすることがせいぜいで、治すことはできない、
と医者から言われていますが、母にそのように言う事はできません。
「去年より良くなったよ」と気休めのようなことを言ってしまいます。
昨年の母は、好きなだけ甘いものを食べていました。
冷凍庫には大好きなアイスクリームがぎっしり、
戸棚にはクラシックな板チョコ、
出来合いの甘い煮豆、ビスケットの袋菓子、
和菓子屋さんで買ったお饅頭や、パン屋さんのチョココロネ…。
母は、40歳代の時に糖尿病と診断され、糖質を制限して健康を保っていたのですが、
そのことをすっかり忘れてしまっていました。
冷蔵庫とカレンダーのそばに「甘いものはダメ」と貼り紙をして、
「運動して体重を減らしてね」といつも声をかけました。
このことは、母の記憶にとどまり、
甘いものは少しづつ家からなくなっていきましたし、
家の中の階段昇降や、散歩をして、母は順調に減量に成功しました。
認知症を自覚している母、減量を達成できた母に
少しでも回復の可能性を見出したい思いです。